COLUMN

18歳からの漫画の描き方

vol.32

それをどうやって短編漫画にするのか

さて、このようにヒットした長編漫画においては、ほとんどの場合、主人公・ヒロイン、主人公・相棒という物語の軸の脇に第3のキャラクターがいて、そのキャラクターが間接的に主人公とヒロインの価値を高める動きをしています。しかし、これを私たちがマネしようとすると大きな問題が明らかになります。それは、私たちは短編漫画の作者であり、そのようなヒット作と同じように、長いページ数を描くことができない、ということです。
それでは、私たちはどうするべきでしょうか?

① 主人公とヒロイン、主人公と相棒に第3のキャラクターの役目を負わさる
これが最も手っ取り早い方法です。長編では3人・4人めのキャラクターを使って主人公とヒロイン、主人公と相棒の価値を高めていくのですが、それを主人公とヒロインの会話・行動の中で行います。

② ちょい役でも第3・第4のキャラクターを作り込む
この方法が一番確実です。私たちは、主人公とヒロイン、主人公と相棒のキャラクターを思うあまり、短編漫画における第3のキャラクター・第4のキャラクターをパターンで作ってしまいます。例えば敵役はとても簡単に悪役をすえます。しかし、ここで考えて欲しいのです。あなたの作った敵キャラクターは、本当に魅力的でしょうか? 物語の中で、主人公とヒロイン、主人公と相棒を引き立たせる役割を果たせているでしょうか? おそらく、ほとんどの方の作品ではそれが出来ていないと思います。この場合の敵役は、「ドラゴンボール」のピッコロやフリーザでしょうか? 彼らは、のちに主人公たちの力強い味方として登場するほどに魅力的です。

歯車がかみ合うと相乗効果を起こす

このテーマとエンターテイメント性は、お互いを補完し、相乗効果を生むものだと考えてください。より良いテーマは、キャラクターたちの円滑な会話劇を生みます。いわゆる「キャラが勝手にしゃべってくれている」という状態です。そしてそういう円滑な会話劇や、エンターテイメント性の強いエピソードが、みなさんの作品のテーマをより鮮明にするはずです。
繰り返しますが、短いページ数です。無駄な事をしている暇はありませんし、面白さを模索しながらストーリーを初めてしまっては、やっとキャラクターを掴めた頃にドラマは終わってしまいます。ぜひ、ネームを描き出す際には作者が鮮明にこの2つの点を認識できているようになりたいです。

そのための工夫

そのために、自分の作ったキャラクターたちを色々なシチュエーションに置いて会話をさせるのはとても意味のあることです。例えば、自分の作ったキャラクター2体が喫茶店でぼけっとしていたらどんな会話をするか。その喫茶店に偶然3人めのキャラクターが登場したら、どんな会話をし、どんなシチュエーションになるのか。色々想像してみてください。その会話劇を文字にして、どんどん描き出してみてください。場合によっては、本編で使えるネタがあるかもしれませんし、使えなくても、作者の頭の中では、より鮮明にキャラクターとテーマがはっきりするはずです。

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