折れない
さて、編集者さんにダメ出しをされた私は、3日間はべっこりと凹みましたが、4日めからまた元気に創作をしています。その原稿やダメ出しを思い出すと、まだ胸がチクリと痛みますが、今はもう、あまり思い出さないようにして物語やキャラクターを描いています。10代、20代の方はそれもよい経験なのかもしれませんが、「折れない」というのはとても大事なことです。特に、私のような30代後半の人間は折れている暇などありません。
なので、ダメ出しをされたらば、何がダメだったのかというのを、編集者さんのアドバイスを基に徹底的に考えます。これには、その編集者さんへの絶対の信頼も必要です。「ダメ出しをしてくれた編集者さんは漫画の読める人だ」、「その人が自分の漫画がダメだと言った」、「何故だろう?」と。それは、痛む傷口を開くように苦しい作業です。しかし、自分が折れず、気持ちの整理をつけてまた前に進むためにはどうしても必要な作業です。
漠然とダメ出しをされない。これはとても大事なことです。その方が、結局のところダメだった結果を引きずらずに次に行けます。
荒木飛呂彦先生だって、2年間もそうやって必死に漫画を勉強し、分析をされたのです。そこで荒木先生が諦めていたら、「ジョジョ」などの名作は世に出なかったでしょう。そう考えると、少し勇気がわきませんか?
とにかく、折れない。原因を分析できたら、ガッツで、どんどん次の作品を描いていく。言っていることはとても単純だと思います。
そして、思い返してみてください。漫画でも、テレビドラマでも、プロが作っても、いわゆるハズレの失敗作は毎年山のようにあります。せっかく大手雑誌に連載されても、途中で簡単に打ち切られる作品は山のようにあります。
私たちはまだ幸せです。世の中に作品を出し、2ちゃんねるやヤフーコメントで視聴者に徹底的にダメ出しをされる。もしくは、雑誌のアンケートの結果が全然よくなく、自分の中でもキャラクターたちが全然動いてくれない。けれど、毎週・毎月締め切りが来る。編集者さんの顔色がだんだん悪くなる。
そういう「プロになってしまった」人たちに比べたら、私たちの挫折や傷つき方はまだ浅いです。
と、信じて、がんばりませんか?
折れそうになった時は、しばらく寝ていればよいのです。けれど、半年とか1年とか筆を置いてしまうのではなく、しばらく落ち込んだあと、また、描く。今日みなさんが持った鉛筆が、もしかしたら、半年後のヒット作を生み出すかもしれないのです。