COLUMN

18歳からの漫画の描き方

vol.17

オール3点の原稿はいらない

このコラムも半分が終わりました

こんにちは。田中裕久です。暑い毎日が続きますがみなさんは楽しく生活を送っていますでしょうか? 学生の方々は夏休みですね。夏休みのまだ7月というのはまだ手つかずのゴールデンな感じがしてとっともよいですよね。僕は独立して働くことが全く嫌じゃなくなったのですが、サラリーマンの頃は学生さんの長い夏休みがとってもうらやましかったです。その分、8月の終わりごろになると優越感を感じたりもしましたが。
さて、このコラムも5回めです。個人的には、10回ぐらいの読み物にしたいので、だいたい半分ぐらいが過ぎた感覚です。ここまで、主に「とにかく沢山の原稿を描いて!!」というメッセージを伝えてきたつもりです。伝わりましたか?
今回は作品を描くうえで、「濃い」原稿を描こうね。という点についてお話したいと思います。

オール3点の原稿はいらない

以前、何人かの編集者の方から別々に聴いたので、ほとんどの編集者さんのご意見だと思うのですが、例えば、
① 企画
② キャラクター
③ ストーリー構成
④ 画力
⑤ 演出力
みたいな感じで能力パラメーターを作ったとして、5点満点中オール3点の原稿というのが見ていて一番可能性を感じないそうです。いわゆる「眠たい原稿」と私は呼んでいますが、持ち込みで来られた時に読んでいると眠たくなる原稿だということです。
5点中3点とは、具体的には、主人公・ヒロインのキャラクターが一応テンプレート通り作れている。ストーリーではイントロで5W1Hが説明出来ていて、山場で見開きを使い、何とか物語を盛り上げようとしている、などなど、一応、漫画のセオリーは踏んでいるのだけれど、全然面白くないし、新しさがない、という原稿です。
私たちの方からすると、一生懸命作った漫画です。思い入れもあるし、夜なべをしながら40ページも描きました。編集者の方にも一生懸命読んでもらいたいです。けれど、そういうオール3の原稿というのは、読む側はなかなか辛いものがあります。「早く終んないかなぁ」と感じます。残酷なようですが、これは現実です。編集者の方が何故わざわざ忙しいのに持ち込み原稿を読むのか、それは、ダイヤの原石が欲しいからです。今は荒削りだけれど、もしかしたら将来鳥山明や尾田栄一郎になるかもしれない可能性を探しているからです。そういう編集者側の立場に立った時、オール3の原稿というのは大変アドバイスがしづらいし、「この人の描くものをもっと見たい、一緒に漫画が作りたい」というマインドにはなかなかなりません。

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