COLUMN

18歳からの漫画の描き方

vol.16

なるべく早く自分に漫画の才能があるかないかをはっきりさせよう

このコラムでは以前にも書きました。商業漫画における自分の才能のあるなし。商業漫画においては、売れる漫画、売れるコミックスが作れる人が「漫画の才能がある」人です。自分が面白いと思って描いたものが100万人に支持されれば、みなさんは立派な人気漫画家になれます。これが逆に、全力で描いたけれど、1000人の読者にしか面白いと思ってもらえなかった、コミックスを買ってもらえなかった場合には、残念ながらその人には商業漫画家としての才能がなかったということになります。
私は以前、23歳の教室の生徒さんに教室をお辞めいただいたことがあります。その生徒さんのお母さんからの依頼で、10ヶ月間その生徒さんと教室で学んだのですが、彼は10ヶ月で1作も作品を仕上ることが出来ませんでした。アイデア出しや企画作りも出す数が圧倒的に少なかったので、お母さんとご本人に事情を話し、「とりあえず就職して30歳になっても漫画家になりたかったらまた来てください」と言いました(このシリーズの後に、「30歳からの漫画の描き方」というコラムを書こうと思っています。18歳の人と30歳以降の人では、漫画の描き方は変わります)。
「漫画家志望者」というのは、わりと聴こえのよい言葉かもしれません。将来漫画家になってビックヒットを生み出し、印税生活をして豪邸に住む予定だから、とりあえず今は就職しない。可能性は否定しません。みなさんの中には、尾田栄一郎さんのような漫画家さんになる方もいるでしょう。しかし、尾田栄一郎さんが尾田栄一郎さんなのは、しんどい思いをして原稿を上げ続けるから尾田栄一郎さんなのであって、ぼんやりといつか漫画家になれるだろうと思って原稿が上がらない日々を過ごしても、時間の無駄です。
みなさんが自分の才能にはっきり白黒を付けたいならば、1年4作品を3年ぐらい続ける必要があります。それだけ描けば、まず自分は漫画を描くという作業が好きか。自分が面白いと思うものは、人も面白いと思ってくれるか。一生漫画家としてやっていく覚悟が付くか。などが、はっきりとします。
人間は弱い生き物なので、口で言うのは簡単ですが、この年4本の作品を3年間続けて描くという作業を達成するのは、なかなか難しいことです。なので、いるかMBAのような漫画教室に通い、一定の強制力の中で、多くの刺激を受けながら描くことは理にかなっています。
みなさんには、ぜひ30歳までにとりあえず現状で漫画家になれるかなれないかをはっきりさせてほしいです。30歳までならば、今の日本ならば漫画家にならなかった・なれなかった時に、就職して出直せますから。

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