COLUMN

18歳からの漫画の描き方

vol.08

同じ失敗はしない

けれど、同じ失敗はしない

鈍感であることとは、突き詰めるとあれこれと細かいことを考えないことです。ただ、当たり前ですがまったく何も考えず、何の工夫もせずに面白い漫画を作ることは出来ません。1作めを描いて自分で感じたこと、2作めを持ち込んで編集者さんに言われたこと、3作めを描いて手ごたえを感じたことは、覚えておくべきです。そして、特に失敗については、同じ失敗をしないようにする工夫が大事です。これは本当に漫画家志望者あるあるなのですが、居酒屋で漫画論を語って、家に帰って満足して眠り、作品がいつまで経っても完成しないというダメな漫画家志望者を僕は今まで沢山見て来ました。
また、色々な人にアドバイスを求めすぎて、それを全部活かそうとするので作品が空中分解してしまう生徒さんも沢山見て来ました。
見ていて、もったいないなぁとつくづく思います。漫画教室のような、創作者集団のブレストや講評会を除けば、自分の中にある成功体験・失敗体験・面白いと思うこと・作品の手ごたえは、基本的に人にペラペラしゃべるのではなく、家で次の原稿にぶつけるべきです。

大きく、以上のようなことに気を付けていると、みなさんは現在よりも「鈍感」に創作が出来ると思います。大人(30歳以降)になってみて気づきましたが、創作は大人になってからやった方が圧倒的に楽です。人生経験もそれなりに積み上げて来たし、物を作り上げることに対しての耐性が身についているので、若い時のあの呼吸困難のような苦しさはなくなります。しかし、その分、感受性は豊かではありませんし、ある種のひらめきのようなものは劣化して行きます。
結局、みなさんは苦しみながらも物を作っていくしかない、という結論なのですが、このコラムを読んで、みなさんが少しでも「鈍感」に、具体的に1作でも多く作品を完成させていただいたら、こんなにうれしいことはありません。

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