COLUMN

18歳からの漫画の描き方

vol.05

大人って案外、よい

こんにちは。いるかMBAの田中裕久です。みなさんはお元気にお勉強やらお仕事やら漫画創作に励んでいますでしょうか?

今、これを書いているのは2015年7月16日17時12分 イン 東高円寺です。明日明後日で台風が来るみたいで、天気は雨です。実は僕はこの梅雨の終わりの方と、梅雨が明けたあとに圧倒的にやって来る夏が大好きなので、ワクワクしながらこの原稿を書いています。

この原稿は、僕よりだいぶん年下の18歳から30歳ぐらいまでの漫画家志望者を想定して書いています(もちろん、もっと年上の方にも読んでいただきたいのですが。)。僕はみなさんに言いたい。「大人って案外よいですよ」と。もちろん、大人になると色々な義務が発生し、中二病的な感覚だと生活していけません。ある部分で鈍感になり、ズルくなり、長いものに巻かれるようになり、しがらみなども生まれるので作り笑顔も必須です。が、それさえ我慢すれば、お菓子だって大人買い出来るし、何よりも仕事以外の時間が自由!!です。
僕は今39歳ですが、もしも神さまに「田中くん、君はなかなかのがんばり屋さんだから君をもう一度20歳にしてあげるよ」と言われても、「またまた~、そんな事言って神さままた僕をハメようとしてるでしょ~」と笑顔でスルーするでしょう。僕は僕なりに真剣に10代・20代を生きて来ましたし、ナイーブで繊細で傷つく事もいっぱいあったし、人生に起こる事が初めての事ばかりだったので、生きる事が大変疲れました。今は、楽です。ちょっとぐらい自分の作品のレビューで悪口を書かれても、ガリガリ君でも食べながらエヘラエヘラする事が出来る。
これは、僕だけではないようです。漫画や小説や詩を書きたい文化系の人は、良くも悪くも根が繊細ですから、若い自分は、よっぽど早熟な天才じゃない限り、生きる事も、創作する事も苦しいみたいです。

書くことは呼吸だだからいつだってただただ呼吸困難だった

桝野浩一 『ドレミふぁんくしょんドロップ』(実業之日本社)

僕はこの歌に大変共感してしまいました。何故ならば、僕自身がそうだったからです。もう、涙が出ちゃうぐらい小説家になりたくて、呼吸困難なぐらい苦しいのに机に向かって何も書けずに一日が終わる。そしてくじけてベッドで個人的に死んだふりをしてみたり、村上春樹やナンシー関の本を読みながら、「ああ、自分もこんな文章が書けたら幸せだろうなぁ」と夢想する日々を送っていました。
大人は良いですよ。書くのが楽になります。まず、技術力が身に付くので、お話をほぼ無意識のうちに起承転結にまとめることが出来るようになります。今自分が描いているものが、ストーリー構成なのか、キャラクターの感情線なのか、読者の心をくすぐるパートなのかなど、自分の立ち位置もはっきりするので、「何を書いたらよいかわからない」という漠然とした状況はなくなります。
ちなめばこのコラムだって、もちろん書きあげたら一度プリントアウトしてチェックはしますが、書き出しから基本的には一度もキーボードを止めずに文字を打っています。僕がみなさんに伝えたいことがはっきりしているからです。

なので、僕はみなさんには「大人ってよいですよ」と言います。そして、早く大人になれるとよいね、とも伝えたいです。もっとも、そうやって物が作れる大人になるには、やはり若い時に呼吸困難ながらも、常に何かを作りたい・表現したいとじたばたする必要があります。

今回のコラムは、そんな若いみなさんがじたばたする上で、こういう事に気を付けたら、もしかしたらじたばたが効率的になるかもね☆というアドバイスです。あ、さっきからエラそうですいません。けど、僕は10代・20代のみなさんに伝えたいんです。自分が苦しんだ分だけ、上手くいく方法を。

必須項目を入力のうえ送信してください