3年間、年6本のペースで描き続ける 六本会の成功体験
このコラムを読んでいる18歳以上30歳未満の方に、年6本の投稿作を作っている方はいますでしょうか? きっといないと思います。何故ならば、そういう人はとっくにプロの漫画家になり、白黒がはっきり付き、今頃三昧の境地で漫画を描き続けているか、趣味で漫画と割り切り、楽しく漫画を描いているか、漫画を描く事とは関係のない生活をしていると思うからです。年間6本の作品を3年間描けば、少なくとも白黒ははっきり付きます。
私は以前漫画の専門学校でストーリー講師をしていたのですが、その時の一番の成功体験はそこの生徒の有志と「六本会」という会を作り、そこに所属した生徒さんたちがことごとく賞を取ったりデビューをしたりした事でした。六本会とは、その名の通り、年間6本の投稿作を作るための会です。最初は金曜日の放課後にやっていましたが、「時間がもったいない」という生徒さんたちの意見を聴き、月曜日のお昼休みにご飯を食べながら開催する事にしました。会は、車座になり、先週一週間自分がどれだけ漫画を描いたか、今週一週間どれだけ漫画を描くかを報告し合うだけです。これを1年・2年と続けると、本当に見事に、所属する生徒さんたちのほとんどは受賞やデビューをし、プロの世界に入って行きました。
もちろん、六本会を脱落する生徒さんも多かったです。人間は言う事は簡単ですが、実行し続けるのは難しい。年間6本描くと宣言しても、実際に描けない生徒さんたちは自主的に脱落して行きました。
僕は、漫画の描き方本を書いたりして、技術論を語ったりもしますが、生徒さんに求める事は実は非常にシンプルで、年間4~6本の短編漫画を、描き続けてください、というだけです。なので、このコラムを読んでくれている方、そして、プロの漫画家に成りたい方にも、とても普通にそれを期待します。そして、それを本当にし続ければ、みなさんはきっと3年以内にプロの漫画家にはなれます。そこから先、才能があるかないかは先ほど言った通りです。
人間は弱い生き物なので、また、1人きりで作品を描き続けると、どうしても自分の作品を主観的にしか見れないので、もしも必要な方はいるかMBAのような漫画教室や、通信添削の指導を受けると良いと思います。私ども漫画講師は、プロの編集者さんよりはもう少し優しく噛み砕いた形で作品を指摘できると思います。そしてスケジュールを決めて、外からの圧力で作品を仕上る事が出来ます。
お月謝も安いので、新聞奨学生になり、新聞を配りながら漫画の専門学校に通うよりはずっと効率的だと思います。